ニホンザルによる農作物被害防止対策

まずはニホンザルの生態を知ることから

近年、イノシシ、ニホンザル等の野生獣による農作物被害が大きな問題となっています。とりわけ、ニホンザルについては、中山間地域を中心に農作物の被害が多発し、農業生産への悪影響や農家の生産意欲の減退を招いています。
県では従来から中山間地域を中心に防護柵の設置や銃器による駆除、おりを用いた捕獲による被害防止対策を進めてきましたが、最近では簡易防護柵の設置、牛の放牧による獣害回避も検討されています。いずれの対策に取り組むにしても、まずはニホンザルの生態を知ることから始まります。

ニホンザルの生態と生育環境

1) 野生のサルの群れは、メスとその子どもを中心に構成され、10数頭から100頭を超えます。
2) オスは、オトナになると群れから離れて生活します。また、ボスザルは存在しません。
3) 野生のサルは、明るい時間帯に行動し、早朝と夕方に採食のピークがあると言われています。
4) 行動範囲は、数平方キロメートルから数10平方キロメートルを遊動しています。
5) 交尾期は秋から冬で、出産期は春から夏になります。
6) 5歳から6歳で初産を迎え、2年から3年に1頭の割合で出産します。寿命は20歳ぐらいです。
7) おもに、草木類の葉や花、落葉広葉樹の若芽、葉、果実、樹皮等の植物を食べています。農作物では、野菜、水稲、イモ、マメ、果樹で被害が多く出ています。

被害を防ぐポイント


1、餌付けになることをしない


1) サルに餌を与えない 
かわいいからとサルに餌を与えることは、サルに人間の食べ物の味を覚えさせ、農作物の被害を増やす原因となります。


2) 生ゴミや野菜くずを農地や山際に捨てない
コンポスト化するなどしてエサになるものをそのまま捨てないようにしましょう。


3) 収穫の終わった野菜などの残さを畑に残さない
サルが野菜の味を覚えると、年中農地へ出てくるようになります。エサになるものを畑に残さないようにしましょう。


4) カキやクリの実を収穫せずに放置しておかない
不要なカキやクリの木は切り倒します。


5) 稲刈りの終わった田は、できるだけ早く耕す
サルは刈り取り後の田に来て、落ち穂を食べます。追い払わないと、田を餌場だと覚えてしまいます。


6) 墓のお供えは持ち帰る
墓のお供えも、そのまま放置すればサルへの餌付けと同じです。


2、サルを農地に近づけない


1) サルが食べない作物を作る
ミョウガ、サンショ、サトイモ、トウガラシは、サルによる被害が少ない作物です。いつもサルの被害に遭う地域では、これらの作物を作ることも一つの方法です。


2) 散歩や農地の見回りはできるだけ山際の道を通る
人が農地の近くにいるとサルは警戒します。


3) 山際等の高木の伐採や枝払いをする
サルの出没がわかりやすくなります。


3、農地や人を怖いと教える


1) サルを見たら直ちに追い払う
人から餌をもらったり、農地に出てくるようになったサルに、何もしないと徐々に人を怖がらなくなります。


2) 年中追い払う
サルに農地を餌場だと覚えさせないためにも、収穫時期だけではなく年中追い払いましょう。


被害防止対策の取組事例


ここでは滋賀県ニホンザル保護管理計画に例示されている農作物被害防止対策の取組事例の一部を紹介します。

滋賀県ニホンザル保護管理計画

1) 放牧ゾーニングによる獣害回避
長浜市木之本町杉野では、山際を放牧地にし、野生獣が山から里へ侵入するのを防ぐ「放牧ゾーニング」という方法が獣害回避に効果を上げています。
また、牛の採食による防護柵内の下草刈りの省力化、荒れた農地の改善や集落の憩いの場の提供、低コストな健全牛の育成等、多面的な効果を発揮しています。


2) ロケット花火による追い払い
奈良県では、昼間、里にいる人が手軽に使える追い払い道具を作っています。水道用塩ビパイプを加工したロケット花火を安全に発射できる道具です。費用は150円程度です。
サルよりも やや高い位置を狙って発射し、サルに届かせるように撃ちます。

遠くからむやみに発射すると、届かない距離を覚えて、逃げなくなります。

付近に人が居ないことを確かめ、枯れ草など燃えやすいものが多いところでは注意します。
笛付きよりも最後に破裂音のするものを選び、誰もが使えるよう集落全体に配っておく必要があります。

畑の周囲の樹上に逃げても追い払いを止めずに、山の中までしっかりと追い返すことが大切です。

1日の使用数の制限等の規制がありますので、下記を参照してください。

ロケット花火の使用についての注意事項


3) 侵入防止柵
農業試験場湖北分場では、簡単に手に入る資材で作れる簡易防護柵「おうみ猿落(えんらく)・猪(しし)ドメ君」を開発し、サルやイノシシの侵入防止効果を検討しました。試験の結果、サルの柵越え侵入がわずかにありましたが、野菜や稲の被害は激減しました。

また、平成22年5月から「猿落君」の網の上端と曲がる支柱に電線を入れ、侵入防止効果を強化した「電落君」の現地試験を行っています。昨年収穫皆無だったほ場は、地域のみなさんで作られた柵に守られ、今年は侵入が無く、数年ぶりに 全て、収穫できました。

網の改良(サルよけの網の耐用年数が2〜3年と短い)、資材費削減(100メートル当たり7万〜11万円)、積雪対策等の課題がありますが、期待は大きく、改良を重ねていきます。

現地の様子(JPG:111KB)

 

 

▲ このページのトップに戻る