北の農業  湖北農業の概況

1)立地条件

  湖北地域は本県の北東部に位置する長浜市と米原市の2市で構成され琵琶湖周辺の平地農業地域から伊吹山系の中山間を含む地域である。
  年平均気温は13.4℃、年降水量は1,516mm(長浜(虎姫)アメダス平年値)である。北陸型気候に属し、晩秋の時雨と冬期の降雪が多い。

  社会経済は長浜市を中心に、名古屋市および京都市まで約80km、大阪市まで約120kmの距離にあり、鉄道ではJR東海道本線・北陸本線・湖西線、道路では名神高速道路、北陸自動車道、国道8号、21号、303号、365号などにより京阪神、中京、北陸の分岐点としての位置にある。また、歴史的にも多くの観光名勝があり、滋賀県への観光客の1/4が湖北地域を訪れている。
  県内で最も人口の減少と高齢化の進行の著しい地域であるが、観光資源や自然資源を生かし、都市生活者が気軽に訪れて農業体験や交流活動ができる地域として活性化することが期待される。 

 

2)農業生産構造の現状

(1)耕地

  管内の耕地面積は10,806haであり、約92%の9,895haが水田で県全体のおよそ1/5を占める。
  水田のほ場整備は平成19年度末現在、管内全体で92.9%が完了している。
  1戸当たりの経営耕地面積は100.5aで県平均の101.9aにほぼ等しい。地域別では旧湖北町が189.3aで最も多く、旧虎姫町、旧びわ町、旧高月町および旧浅井町が県平均を上回っている。

  農業経営基盤強化促進法に基づく農地の利用権設定は、平成20年1月で設定面積が3,026ha(設定率30.7%)となっており、近年増加傾向にある。なお2005年センサスの借入耕地調査による田の移動面積は4,965ha(56%)となっており、農地の移動はこの制度に基づかないものが多いと推察される。

 

(2)農業経営体等の担い手

  1995年から2005年の間に管内の総農家数は22%減少した。60才未満の男子専従者がいる農家数は同期間内の減少率が4%で、実数は2000年に比べてわずかながら増加した。一方、経営面積3ha以上の農家数は同期間内に116%と増加している。また増加傾向は、経営面積5ha以上では同160%、10ha以上同202%と規模拡大の傾向がより顕著であり、今後も担い手への農地の集積と経営規模の拡大が進むと予測される。(出典:2005年農業センサス)

 

管内農家数(戸)

 

  農産普及課で把握する担い手数は平成21年9月末で、認定農業者392、法人経営29であり、水稲を基幹作物とする経営が大多数である。また、集落営農組織は、麦・大豆作主要機械作業サービス型の集落営農が135、集落一農場または作業サービス型で集落内の面積シェアが過半を超えているものが10集落、集落法人は11あり、家族経営体等の営利追求型と並んで、管内水田農業の担い手構造再編を担っており、今後もこの傾向は強まると予測される。

 

 

(3)生産流通基盤の整備

  管内にはJAレーク伊吹(H10.4 5JA長浜市、神照、米原、近江、伊吹合併)、JA北びわこ(H9.47JA浅井、虎姫、大郷、竹生、湖北、高月、伊香合併)の2つの広域合併農協があり、カントリエレベータ(8施設)やライスセンター(8施設)、育苗施設などの広域利用施設が整備されてきたが、施設の老朽化や利用率の低下により施設の整理統廃合の見直しが必要となってきている。
  青果物の流通施設は、長浜地方卸売市場が地場流通の拠点として機能している。また、地域内農産物等の生産と消費の交流拠点として直売・加工施設が各地で整備され近年売上高は順調に増加し、地産地消の取り組みに対し意欲が高まりつつある。
  さらに、中山間の立地を活かして都市住民との体験交流施設も一部では設置されており、今後、地域振興に寄与することが期待される。

 

(4)環境こだわり農業

  滋賀県の「環境農業直接支払制度」を契機として、環境こだわり農業の取り組みを推進してきた。平成19年から「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策(国事業名:農地・水・環境保全向上対策)」が始まり、環境こだわり水稲の栽培面積は大幅に増加し、平成21年度はhaで、前年からha増となった。
  今後も環境こだわり農業推進のため、統一施肥設計や一斉防除における農薬使用体系の検討時において、指導や助言を行うとともに、農薬の安全・適正使用の徹底とポジティブリスト制度への対応をも図る。
  水稲では、管内の環境こだわり取り組み面積を平成21年度で2,400haとすることを目標として、最終的に環境こだわり稲作をスタンダードとした「新しい稲作スタイル」を構築し、管内における農薬・化学肥料使用総量の30%削減を目指している。
  野菜では、管内全域でブロッコリー、カボチャやマクワでの取り組み面積が拡大しており、果樹では、すでに環境こだわり農業が広まる管内の主要な産地である長浜市のブドウや米原市のカキに加え、それ以外の品目にも技術支援を進めていく。平成19年より環境こだわり農産物栽培基準に加えられた花き等とともに、園芸分野の環境こだわり農業の普及拡大を図る必要がある。


 

 

3)農業生産の現状 

(1)水稲


  管内の平成21年産の作付け品種はコシヒカリ72%、日本晴3%、キヌヒカリ3%、あきたこまち5%で、この4品種で大部分を占めている。1等米比率は、胴割れや心白の影響により、75%と低く品質向上が課題となっている。
  一方、近年の米を取り巻く情勢は、消費者の減少と慢性的な生産過剰から価格の低迷が続いている。また消費・実需者のニーズは益々多様化しており、消費者を見据えた生産・販売が重要となっている。
  JAでは湖北産コシヒカリの販売戦略により、基準米が卸の評価を得てきている。また、担い手農家や組織も、米の直売による経営の安定化を進めており、産地内の販売競争は強まると思われる。

 

水稲品種別作付け面積

(2)麦・大豆・そば

  コメの生産調整として小麦−大豆体系を主に管内の南部平坦地で作付されている。
  小麦・大豆は、気象条件によって作柄が変動しやすいため、気象条件に左右されにくい高品質安定生産技術の改善が急務となっている。小麦の品種は「農林61号」が主体であるため、収穫作業時期の集中が課題となっており、品質面の向上を兼ねて小麦新品種「ふくさやか」の作付けが拡大している。また、需要にあわせて「ミノリムギ」の作付けも検討されている。
  大豆は、は種時期が梅雨期となり、作付が遅れることが多く、密条播種の導入により播種時期を少し遅らせても収量の安定化が図れる技術の推進を進めている。
  近年、麦および大豆は担い手への集中が進んでおり、より効率的、安定的な栽培方法へ誘導する必要がある。
  そばは、米原市伊吹地域と長浜市虎姫・湖北地域を中心に地域の特産物として作付けされている。湿害等による収量が向上していないことに加え、虫害による減収も大きくこの対策が望まれている。

 

(3)園芸作物

  • 野菜

  露地野菜は、近年キャベツやハクサイにかわりブロッコリーが小麦の後作等に作付けられるなど全域的に面積が増加している。長浜市のスイートコーン・タマネギ、米原市の赤カブ・マクワ、長浜市高月地域のスイカなどの品目は地域に定着している。 
  施設野菜は、トマト、キュウリ、イチゴ、メロンの果菜類をはじめ、ホウレンソウ、コマツナなどの葉菜類が作付けられている。平成18年度以降、県補助事業を活用して新たに9,700平方メートルのパイプハウスが新設された。イチゴで導入が始まった少量土壌培地耕は、トマト、キュウリの他、メロンにも普及しつつあり(イチゴ14,691平方メートル、トマト1,100平方メートル、キュウリ1,100平方メートル、メロン1,710平方メートル、平成20年度調査)、水稲大規模経営の複合化や定年帰農者、新規就農者に普及しており今後も拡大が見込まれる。

  • 果樹

  管内の果樹生産面積は約37.0ha(平成19年産特産果樹生産動態等調査)であり、主産地は昭和20年代に植栽された米原市伊吹地域のカキ園が5.3ha、昭和50年代に植栽された長浜市浅井地域とびわ地域のブドウ園が約9.2haである。また、長浜市や米原市にウメが植栽され、約8.5ha栽培されている。
  最近では、米原市と旧木之本町、旧西浅井町でブルーベリーの植栽が増大し、約4.3haとなっている。旧木之本町や旧西浅井町等で高品質のカキ品種「太秋」が約1.4ha植栽されているほか、直売所や市場立地を活かしイチジクが約50a植栽されている。
  主要品目であるブドウやカキは直売所や市場を通じて地元量販店で販売され、地域特産物の地位を築いている。なお、ブドウは観光もぎ取り園として、カキは収穫オーナー制度を採用し、地元はもとより、近隣他府県からも入客が多い。
  今後の果樹作は、地元消費者をはじめ、観光客の直売所利用や量販店の地場産・本物志向に対応した生産振興がますます求められる。また、地域農業の担い手(認定農業者、集落営農、定年帰農者、直売所の出荷組合加入農家)からは、有利な品目選定やポット果樹栽培等による省力化・技術平易化・高品質化が図れる技術対策が求められている。

  • 花き

  花は露地での小菊栽培が中心で管内に点在している。生産者組織「湖北花き推進協議会」では最盛期に比べると生産者(平成21年名)、生産量ともに大幅に減少している。平成18年から長浜地方卸売市場への販路を開拓し、平20年は組み花向けの短茎規格を新たに加え、新規栽培者の増加につなげるなど組織の活性化を図っている。
  一方、直売所へ出荷する花(特に小菊)の生産者、出荷量は年々増加している。
  その他、ストック、ユリ、アスター、トルコギキョウなどの切り花がハウスで栽培され、一部でプランターを使った少量土壌培地耕(平成20年1500プランター)が導入されてきており、今後も拡大が見込まれる。


4)特産物

  管内の直売所は、平成8年頃から補助事業を活用するなどして各地に整備され、新鮮で安全・安心な地元農産物等の販売拠点として生産者、消費者から期待されている。
  平成16〜18年度、旧近江町・旧浅井町・旧湖北町の3直売所を対象に「新たな特産品を核とした湖北地産地消推進事業」を局事業として立ち上げ支援を行った。3直売所の生産者組織では、新たに特産化を目指した野菜や花、果樹の栽培、加工品等の新規開発に取り組み、30を超える品目を新たに商品化した。
  また、湖北地域の農産物の魅力を高めるため、農産普及課では「湖北ブランド花野果たわわ農産物」を平成21年度までに23品目選定した。今後、これらの生産拡大・高品質化を支援するとともに、選定品目の拡大を図っていく。

 

 

5)野生鳥獣被害

  近年、野生鳥獣による農作物への被害が増加し、生産意欲の低下の一要因となっている。被害は、中山間地が中心であるが、これまで被害がなかった平地農村でも被害が出てきているとの報告がある。
  被害を及ぼす野生鳥獣は、イノシシ、サル、シカ、カラス、アナグマなどに加え、ハクビシンやアライグマなどの被害も報告されている。
  今後このまま放置すると、さらに農作物への被害が増加することが予測されることから、早急に対策を講じることの支援が求められている。

H22.1.22

 

このページの情報についてのお問い合わせ

所属名:滋賀県湖北農業農村振興事務所農産普及課
電話:0749-65-6613
ファックス:0749-65-5867
メール:ga33@pref.shiga.lg.jp

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