ホーム > 県政eしんぶん > 2010年1月20日号 > 琵琶湖博物館はしかけグループが山門(やまかど)湿原から130種もの珪藻を見いだしました

提供日:2010年1月20日
琵琶湖博物館「はしかけ」グループ『たんさいぼうの会』(代表:有田重彦大津在住)は、琵琶湖の北にある山門湿原で、単細胞の藻のなかま「珪藻」の調査を行い、130種もの珪藻を見出しました。その結果は、日本珪藻学会誌『Diatom』25巻(2009年12月発行)に、論文として掲載されました。
山門湿原(標高約290m)は、琵琶湖の北、長浜市西浅井町に位置し、およそ2万9千年以上前から続いているとされる古い湿原です。比較的低緯度で標高が低いにもかかわらず、一般には寒い地域に発達するミズゴケ湿原が広がっています。植物や昆虫にも寒い地域に分布する種類が多く含まれており、環境省が指定する「日本の重要湿地500」にも選ばれています。
『たんさいぼうの会』では、山門湿原にて、2006年5月と11月に珪藻の調査を行い、約3年をかけて36属130種の珪藻(うち7種は未同定)が生息していることを明らかにしました。この中には、八雲ヶ原湿原(高島市)に生息する珪藻40種が含まれており、山門湿原は、八雲ヶ原湿原と類似の環境を保ちながら、より多様な環境条件を含んでいる場所をもつことを示しています。
また、Eunotia nipponica(写真下、左)や Stenopterobia sp. (写真下、右)のように、これまで主に北海道や日本アルプスのような寒い地域から報告されてきた種類も出現しました。寒地性の生物が多いという特徴が、珪藻についても示されたことになります。
近年の乾燥化や気温の上昇によって、山門湿原のミズゴケ湿原は消滅の危機に瀕しています。今回の『たんさいぼうの会』の研究成果は、これからの湿原環境の変化を捉える上で重要な基礎資料と位置づけられます。

『たんさいぼうの会』
地域の人びとが琵琶湖博物館を利用して自主的な活動を行う「はしかけ」制度によるグループの一つ。
2003年に発足し、現在約20名が登録されています。
会員の大部分は珪藻の専門家ではなく、滋賀県を中心に、愛知県 から鳥取県まで広い範囲から集まってきて研究に取り組んでいます。
現在、県内の主な「ミズゴケ湿原」をフィールドに、珪藻の種類や組成を明らかにする調査研究を進めています。
<掲載論文>
Kihara, Y., Sahashi, Y., Arita, S., and Ohtsuka, T. (2009), Diatoms of Yamakado Moor in Shiga Prefecture, Japan. Diatom 25: p.91-105.(木原靖郎・佐橋保司・有田重彦・大塚泰介(2009).山門湿原の珪藻. 日本珪藻学会誌Diatom 25: p.91-105.)
<位置図>国土地理院1/200000「岐阜」引用

<山門湿原航空写真>写真提供藤本秀弘さん

山門湿原の風景(南部湿原)写真提供藤本秀弘さん
