ホーム > 県政eしんぶん > 2009年4月23日号 > “水田環境はニゴロブナの成長に有効である”ことがわかりました

提供日:2009年4月23日
琵琶湖博物館では,2007年度より「湖に隣接する水田地帯の特性の解明―ニゴロブナを媒体として―」と題する総合研究を,博物館外の多くの研究者とともに進めています。この研究の一環として、今回、水田で育つニゴロブナの初期成長パターンが明らかになり、日本水産学会誌に論文として掲載されました。
ニゴロブナは、「鮒鮓(ふなずし)」の材料として有名な琵琶湖固有のフナです。ふだんは琵琶湖の沖合で生活していますが、繁殖期になると湖岸にやってきて、ヨシ帯や内湖、場合によっては水田にまで侵入して産卵します。そこで生まれた仔魚は、2〜3 cm の稚魚になるまで産卵場所の近くで育ちます。このようなニゴロブナの習性にあわせて、滋賀県では、水田にニゴロブナの仔魚を放流したり、ニゴロブナの親魚を放流して産卵させたり、さらにはニゴロブナが産卵のために水田に侵入しやすくなるように農業排水路の水位をかさ上げしたり(いわゆる「魚のゆりかご水田」)して、水田を活用したニゴロブナの増殖に努めています。しかしながら、これまでに、水田で田植え前後に産卵されたニゴロブナの仔稚魚が、約40日後の中干し時までに2〜3 cm まで成長することは知られていましたが、その成長パターンについてはわかっていませんでした。
今回の研究では、ニゴロブナにとって、水田がどの成長段階まで有効な生育場所であるかについて調査を行いました。共同研究者である金尾滋史(多賀町立博物館)らは、ニゴロブナに水田で産卵させたり、生後間もない仔魚を水田に放流したりして、初期成長のパターンを調べました。
その結果、初期成長は養魚池やヨシ群落内でこれまでに報告されてきたよりも速いことがわかりました。しかしながら、日成長量は全長で11〜24日目に、体重でも15〜44日目には増加から減少に転じました。このことは、水田がニゴロブナの成長の場として有効なのは、一般に生育の初期に限られることを示しています。さらに、ニゴロブナ仔稚魚の中干しまでの生残率は、個体密度が高くなると下がる傾向があり、また高密度だと成長も悪くなる傾向があることもわかりました。

水田で成長した稚魚