ホーム > 県政eしんぶん > 2009年2月5日号 > 琵琶湖博物館の自主的な活動グループ「はしかけ」『たんさいぼうの会』の行った調査結果が学術雑誌に掲載されました

提供日:2009年2月5日
地域の人びとが琵琶湖博物館を利用して自主的な活動を行う「はしかけ」グループの1つ『たんさいぼうの会』は、比良山系の山上にある小女郎ヶ池で「珪藻」とよぶ単細胞の藻の調査を行い、その結果が日本珪藻学会誌『Diatom』24 (12月号)に掲載されました。
『たんさいぼうの会』は、地域の人びとが琵琶湖博物館を利用して自主的な活動を行う「はしかけ」制度によるグループの一つで、2005年に発足しました。
専門家ではない地域の人びとで構成されるこの会では、県内の主な「ミズゴケ湿原」(山門湿原、山室湿原など:ミズゴケが生息する高層湿原)をフィールドに、珪藻の種類や組成を明らかにする調査研究を進めています。
会では、比良山系南西部(大津市)の標高1,060 m に位置する小女郎ヶ池での調査を2004年からはじめ、今回、その珪藻の種類を明らかにしました。小女郎ヶ池は約5,000 年前にできた古い池で、ミズゴケ湿原が部分的に広がっています。ミズゴケ湿原は寒い地域に多く、暖かい地域では発達しにくいため、西日本におけるミズゴケ湿原での珪藻の種類はあまり知られていませんでした。

今回の調査では、9地点から19属41種の珪藻(うち3種は未同定)が観察されました。
枯れた草本類(スゲなどの単子葉植物)の上では Eunotia curvata(1)および Eunotia rhomboidea(2)、枯れたミズゴケ上では Kobayasiella micropunctata(3)、生きたミズゴケ上では Pinnularia shoenfelderi(4)、泥および泥炭の上では E. rhomboidea がそれぞれ優占していました。種類別ではPinnularia と Eunotia が多く、それぞれ10種と7種を占め、寒い地域の他のミズゴケ湿原と同様の傾向が見られました。この研究成果は、西日本のミズゴケ湿原での珪藻に関する数少ない情報になりました。
今後、地球温暖化によってミズゴケ湿原自体が消滅してしまう恐れがある中、「はしかけ」グループの活動が、珪藻の種類によって湿原の変化を捉えることになります。
木原靖郎・佐橋保司・大塚泰介(2008).比良山系小女郎ヶ池の珪藻. 日本珪藻学会誌Diatom 24: p.73-79.
国土地理院1/25000「北小松」引用
図1:小女郎ヶ池の風景

図2:ミズゴケ