ホーム > 県政eしんぶん > 2009年2月5日号 > 琵琶湖から新属、新種のツリガネムシ(原生生物)を発見しました!

提供日:2009年2月5日
滋賀県立琵琶湖博物館および中国烟台(ヤンタイ)大学海洋学院の共同研究グループが琵琶湖から新種のツリガネムシ(原生生物、繊毛虫:ゾウリムシの仲間)を発見しました。しかもこの種はこれまで報告されている近縁種とは大きく異なるため、新属、新種としてヨーロッパ原生生物学会連合(Federation of European Protistological Societies)が発行する学術雑誌、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・プロティストロジー(European Journal of Protistology) の最新号(2009年1月号)に発表しました。
琵琶湖博物館では、2006年から実施している分類学の総合研究の一環として、中国烟台大学海洋学院の季道徳(ジー・ダオデ)博士と共同で琵琶湖の繊毛虫の調査を行いました。その結果、博物館のある烏丸半島の湖岸で採集した水草から、これまで記載されている繊毛虫とは異なるツリガネムシの一種を発見しました。この種は群体性のツリガネムシで1本の柄の先端に房状に数十から50個体程度の個虫を付け、柄がらせん状に収縮すること、大型増殖細胞をもつことなど、これまで報告されているどの属の特長とも当てはまらず、新属、新種と判断されました。
ツリガネムシ類はヨシや水草に付着し、水中の微小な植物プランクトンや細菌をろ過して食べることから水の浄化に寄与しているものと考えられます。今回発見されたアポカルケシウムも細菌などをろ過して食べていると考えられますが、その生態まだ不明です。
現在のところ、この新種が琵琶湖固有種であるかどうかわかりません。しかしながら、ツリガネムシ類は繊毛虫類の中では比較的研究されているグループであり、研究が進んでいるヨーロッパや北米大陸からのこの新属が報告されていないことから、少なくても日本あるいは東アジア固有の種である可能性があります。
2008年にも琵琶湖からレビコレプス・ビワエ(Levicoleps biwae)という新属、新種の繊毛虫が見つかりました。今回見つかった新種と合わせて考えると、琵琶湖は400万年もの歴史をもち、それだけ独自の種が分化する可能性があります。琵琶湖の繊毛虫をさらに研究することにより、琵琶湖における固有種成立のメカニズムがより明らかになると期待されます。
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著者(年) :Daode Ji, Yasushi Kusuoka (2009).
論文タイトル :A description of Apocarchesium rosettum n. gen., n. sp. and a redescription of Ophrydium eichornii Ehrenberg, 1838. two freshwater peritrichous ciliates from Japan.
雑誌名巻頁 :European Journal of Protistology. 45, 21-28.
<新種について>
発見された新種はアポカルケシウム・ロゼッタム、学名 Apocarchesium rosettum Ji and Kusuoka, 2009 と命名しました。属名 Apocarchesium の語源はギリシャ語の apo (〜から、離れている) と Carchesium (カルケシウム属) を合わせたもので、カルケシウム属に似ているが違っているという意味をこめました。種名の rosettum はロゼット状(バラの花びら状)という意味で、柄の先端に房状に個虫が付いた状態から命名しました。
バーは100μm
図1.アポカルケシウム・ロゼッタムの群体が伸びた状態(左)および収縮した状態(右)。
バーは100μm
図2.らせん状に収縮した1本の柄の先端に個虫がロゼット状(花びら状)についている 。
左側の大きな個虫はマクロズオイドと呼ばれる新しい群体を作るための細胞。
(写真提供:琵琶湖博物館)