ホーム > 県政eしんぶん > 2008年12月16日号 > 琵琶湖からカイミジンコの新種(11種類)を発見しました

提供日:2008年12月16日
琵琶湖博物館の総合研究「琵琶湖およびその集水域の生物学的多様性の探査」の一環として行った研究で、琵琶湖博物館のロビン・スミス主任学芸員とドイツのホルスト・ヤンツ博士が、琵琶湖の湖底に生息するカイミジンコ(Ostracoda)を調査し、その結果、琵琶湖から11種類もの新種を発見して、2008年12月刊行の学術雑誌「Journal of Natural History」に発表しました。
カイミジンコは、二枚貝の貝殻に似た形の2枚の殻に包まれた小さな甲殻類で、多くは体長1ミリメートル以下であり、淡水や海水に生息しています。淡水カイミジンコの多くは、水草の間や泥の上などで底生生活をおくり、水深などの環境に合わせて棲み分けをしていることから、環境指標としても重要な動物として知られています。淡水カイミジンコ全体の25%は、琵琶湖のような古代湖において知られています。
カンドナ科(Candonidae)は、カイミジンコのうち2番目に多くの種を含む科で、古代湖で種分化していることが知られていますが、琵琶湖に生息するカンドナ科については、わずかなことしか分かっていませんでした。今回、スミス主任学芸員らは、このカンドナ科に対象を絞って琵琶湖に生息する種を精査しました。
1997年から2007年にかけて、琵琶湖の97か所から採集された湖底堆積物に含まれているカイミジンコのうち、カンドナ科の種について電子顕微鏡を使って外部形態を観察したところ、18種のうちの11種が新種であることがわかりました。
発見された新種の属ごとの内訳は、マメガタカンドナ(Fabaeformiscandona)属9種、ニセカンドナ(Pseudocandona)属1種、オヨギカイミジンコ(Cypria)属1種でした。なお、北湖の水深70メートルの泥に生息する新種のニシノマメガタカンドナ(F. nishinoae)は、採集に協力した滋賀県琵琶湖環境科学研究センター西野麻知子総合解析部門長にちなんで命名されたものです(添付資料参照)。
発見された淡水カイミジンコは固有種の可能性があり、400万年の歴史をもつ古代湖・琵琶湖の生物多様性や琵琶湖内の環境特性を明らかにするための手がかりとして注目されます。
なお、この調査研究で発見・採集された標本は、琵琶湖博物館で登録・保管されています。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<新種に記載された11種類>
Fabaeformiscandona nishinoae Smith and Janz, 2008(大きさ : 長さ1.1mm,高さ0.5mm)


F. okuboi Smith and Janz, 2008
F. velifera Smith and Janz, 2008
F. condylea Smith and Janz, 2008
F. dolabella Smith and Janz, 2008
F. yajimae Smith and Janz, 2008
F. pedana Smith and Janz, 2008
F. akaina Smith and Janz, 2008
F. paterea Smith and Janz, 2008
Pseudocandona abei Smith and Janz, 2008
Cypria matzkeae Smith and Janz, 2008