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第10回 棚田シンポジウム 開催報告

開催概要報告

2008年12月20日(土)、草津商工会議所コミュニティホールにて、「第10回 棚田シンポジウム 新しい棚田の価値―滋賀からおこす棚田を守る社会の風」を開催しました。

年の瀬が迫るあわただしい時期にもかかわらず、滋賀県内各地を始めとして大阪府、兵庫県、石川県などの遠方からもご参加があり、約130名もの方にご参加いただきました。参加者の皆さまからも棚田保全への熱い思いが感じられるシンポジウムとなりました。

シンポジウムの趣旨

現在滋賀県では、「棚田ボランティア活動」が実施され、地域住民と都市住民が一体となって棚田保全活動に取り組んでいます。来年度からは、企業や個人へ呼びかけ棚田保全のための資金を募る「棚田トラスト制度」の実施を予定しています。

このシンポジウムでは、新しい棚田保全活動の仕組み作りを前に、改めて、新しい目線で棚田を見つめ、棚田地域の持つ価値を再確認し、棚田保全の取り組みのさらなる可能性の発信を目指しました。

また棚田米の需要拡大を目指し、棚田ボランティア活動参加地域、5地域(大津市仰木平尾・米原市曲谷・高島市畑・甲賀市土山町大河原・日野町熊野)の棚田米(1地域分3合)を参加者全員に1人1地域分としてプレゼントしました。


田んぼだいすきふるさと農村こども絵画コンクール

シンポジウム冒頭に、本年度に実施された「田んぼだいすきふるさと農村こども絵画コンクール」の優秀作品の表彰式が行なわれました。

若林讓(県農政水産部農業振興課課長)が受賞作品の講評を行い、嘉田由紀子知事などから、知事賞、県教育長賞、農政水産部長賞、滋賀県土地改良事業団体連合会会長賞、滋賀県土地改良事業団体連合会湖南支部長賞が授与されました。

会場後方には受賞作品が展示され、多くの参加者が観賞しました。


  

  


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【基調講演】嘉田由紀子(滋賀県知事)
「新しい棚田の価値―滋賀から暮らしの未来を拓く」

嘉田知事による基調講演では、滋賀県における稲作の発展の歴史をさかのぼり、水利の成り立ちと地域の形成の関係性について紹介されました。そして、「水源の里」としての棚田地域に目を向け、琵琶湖の水が水道水として京都・大阪を始めとして関西国際空港や神戸市垂水区までも利用されていると紹介、「1400万人の方に使われている「命の水」の源が棚田から生まれている」と棚田地域を通って京阪神に広がる水の道について話されました。

また、棚田を耕し、作り継いできた地域の歴史や文化の背景についても言及、地域と棚田の関係について語られました。

今後の取り組みとして、企業の保全活動などについても紹介、今後も人的支援に加え、資金面の支援等に広げた支援か活動が必要であると紹介されました。このシンポジウムをきっかけに、助っ人として棚田地域へ訪れ、そしてその先に、地域に住み着く、そして次の世代につながるということを願う、と締めくくられました。

  

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【招待講演】木村和弘(信州大学農学部教授)
「棚田の保全―必要な取り組みと支援とは?」

木村和弘先生からは、長野県千曲市姨捨の棚田での棚田保全事例を始めとした実践事例をお話いただきました。中でも、「棚田の景観や機能は、様々な維持管理作業が行なわれていて初めて得られるものである」とし、危険度が高くなりがちな棚田の維持管理のための農作業の実態についての紹介や、その対策として行える整備方法について話されました。

また、区画を決めて保全の取り組み方を検討・計画する手法を、姨捨の棚田の放棄田が復田された事例を元にして紹介されました。またその復元田の維持に取り組む、オーナー制度の支援組織「名月会」の取り組みについても紹介され、オーナーやボランティアの手だけでは耕作継続は困難であり、地元等の支援組織が必要であると解説されました。

そして、棚田の所有者と周辺の里山の所有者は同じである、とし、棚田だけ・里山だけに目を向けがちな現在の保全活動について指摘、棚田と里山を分断せず一体として見て、保全の取り組みを行なうことの必要性を提起されました。

  

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【パネルディスカッション】
今後の棚田保全について、地域、企業、ボランティア、研究者、行政、5つの視点からの発信

パネルディスカッションでは、山田國廣先生(京都精華大学環境社会学科教授)をコーディネーターに迎え、地域で活動する福井敬一氏(日野町熊野地区 熊野ワークス企業組合理事長)、様々なCSR活動を行なっている太陽生命保険株式会社から長嶺秀一氏(広報部部長)、ボランティアの都市住民として棚田保全活動に関わっている蔭山歩氏(大津市仰木平尾地区 平尾 里山・棚田守り人の会)、そして招待講演講師でもある木村和弘先生、県農政水産部農村振興課より若林讓(課長)の5人が、違った立場、視点から棚田保全活動への意見を出し合いました。

  

パネルディスカッション冒頭では、それぞれのパネリストが自らのフィールドでの活動を紹介、それぞれが抱えている課題を出し合いました。

福井氏からは、棚田維持のための水管理や獣害による苦労の報告と、今後復田を目指し活動しているという報告がなされました。また、若林氏からは、来年度から目指す「棚田トラスト制度」に関する説明が行なわれ、長嶺氏からはCSR活動をする視点として、現場で一緒に汗をかく活動の重要さや、地域とのつながりをコーディネートしてくれる機関の必要性が指摘されました。蔭山氏からは、地域住民とともに保全活動を支援する立場に立って、支援をボランティアで続けることの大変さが指摘されました。

まとめとして、木村先生からは、ボランティア活動だけでは棚田の維持は難しいとし、ボランティアへの支援の重要性やその仕組み作り、またケガをせず作業できる環境を目指していく必要性を提示されました。山田先生からは、現状を踏まえ、棚田での生産活動がきちんと行なわれ、生活できる職として棚田が雇用の場になることを目標とし、ボランティア活動や棚田トラスト制度を活用しながら、目標へ向けて模索していくことの大切さが改めて確認されました。

  

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