- ●法量:像高55.8センチメートル
- ●品質・形状:
- 木造(材質不明。檜(ひのき)あるいは榧(かや)か)、一木造(いちぼくづくり)、漆箔(しっぱく)、現状古色、彫眼(ちょうがん)。
- ●時代:平安時代(10世紀末頃)
- ●説明:
衲衣(のうえ)を着け、腹部の前で定印(じょういん)を結んで結跏趺坐(けっかふざ)する阿弥陀如来像である。頭体を通して主要部を一材で彫成し、これに一材製の両膝部を矧(は)ぐ構造で、内刳(うちぐ)りはない。頭部は卵形で、目は細く、鼻や唇も小造りに表し、表情が穏やかであるところや、頭部の肉髻(にっけい)と地髪(じはつ)との境を明瞭にせず、髪際線(はっさいせん)が顔に深くかぶさるところに特徴がある。撫で肩で量感を抑えた体躯は奥行きが深く、膝の出も大きい。上体に比し膝前部の厚みは薄く、着衣の衣文も太いが鋭さはない。像底に打ち付けられた一枚の板は、像後方に向かうにつれ次第に厚みを増す後補材である。この底板がなければ上体をかなり後方に反らして坐る姿勢となる。本像は、京都六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)薬師如来坐像や滋賀善水(ぜんすい)寺(じ)薬師如来坐像等のいわゆる天台系薬師像の特徴に通じるところから、平安彫刻が和様化に向かう過渡期的な時期にあたる十世紀末頃の造像と考えられ、小像ながら県内における木造阿弥陀如来坐像の最も古い遺例の一つとして彫刻史上重要である。
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