バイオディーゼル燃料(BDF;BioDieselFuel)は、化学的な定義はなく、一般的に菜種油、廃食用油などの植物性油脂を原料とする非化石燃料を指しています。
油脂は粘度が高いなどから、そのままディーゼル燃料として使用した場合、燃料ポンプに析出物が付着することによる燃料ポンプの動作不良や、フィルターに目詰まりが生じるなどの不具合が発生することが懸念されます。そのため、植物性油脂に化学処理を施し、軽油に近い物性に変換したうえで、ディーゼル燃料として使用しています。


(出典:経済産業省総合資源エネルギー調査会資料)
家庭で使用した食用油(廃食用油)を回収し燃料化するだけではなく、食用油の原料となる菜の花を栽培し、その油を食用に利用した後、バイオディーゼル燃料として利用することで、バイオマス利用による温暖化対策だけではなく、農業を起点とする地域内資源循環、観光資源や環境学習の素材に利用することができます。このように「菜の花」を共通の媒体にした取組を「菜の花エコ・プロジェクト」と呼んでおり、この地域モデルは滋賀県東近江市を発祥の地として全国に広がっています。
1977年5月、琵琶湖に悪臭を放つ赤褐色のプランクトンの異常繁殖による「淡水赤潮」が大発生しました。
その原因の一つが当時、使用されていた合成洗剤に含まれている「リン」ということがわかり、この赤潮の発生を契機とし、消費者団体をはじめとする県民が主体となって、リンを含む洗剤の使用をやめ、家庭から回収した廃食用油などの天然油脂を原料とした粉石けんを使おうという運動をはじめました。これがいわゆる「せっけん運動」です。
琵琶湖を守るため粉石けんを使用するという県民的なうねりの中で、1978年に主婦層を中心に「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議(現在は「びわ湖を守る水環境保全県民運動」県連絡会議)が結成されました。この連絡会議が中心となって、滋賀県に早急な対策を強く働きかけ、1980年7月リンを含む家庭用合成洗剤の販売・使用・贈答の禁止、窒素やリンの工場排水規制を盛り込んだ「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」(通称:琵琶湖条例)が制定されました。

琵琶湖に大規模な赤潮の発生
「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議結成
滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例(琵琶湖条例)制定
「琵琶湖条例」を契機に市町村による廃食用油回収の展開
無リン合成洗剤の発売
〜1990年頃せっけん利用率の低下
滋賀県工業技術センター等による廃食用油燃料化実験の開始
第1号BDFテストプラントの設置 (滋賀県東近江市(旧愛東町))
滋賀県内の小学生を対象とする環境学習の一環として
滋賀県環境学習船「うみのこ」の燃料に
バイオディーゼル燃料を10%混合で使用開始。
滋賀県東近江地域の8事業者12ガソリンスタンドにおいて、
家庭から出る廃食用油の回収に着手。
全国で初めてのバイオディーゼル燃料を使用した
路線バス(エコバス)を運行開始。(近江鉄道(株)、江若交通(株))
産学官と地域の連携によりバイオ燃料「ボディ・ラッピングバス」の運行を開始。
(近江鉄道(株)、江若交通(株)、立命館大学、成安造形大学、松下電器産業(株))
バイオディーゼル燃料は、カーボン・ニュートラルという特性から地球温暖化対策に有効な手段とされています。しかし、バイオディーゼル燃料は、自動車用燃料として利用する場合、軽油と比べてゴム・樹脂を膨張・劣化させる、また、熱の影響により、酸やスラッジ(固まり)を発生しやすいといった化学的特徴があることから注意する必要があります。
また、バイオディーゼル燃料を高濃度で使用すると、排気ガス中のNOx(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)、アルデヒド類が増加傾向となるなど、大気環境への影響が懸念されます。
このため、経済産業省では、バイオディーゼル燃料の特性を踏まえ、一般のディーゼル車での使用を想定した安全や環境等の面から問題が無いといえるバイオディーゼル燃料の性状を検証し、これらを満たした新たなバイオディーゼル燃料の規格(揮発油等の品質の確保等に関する法律施行規則)を平成19年3月31日より施行しました。

バイオディーゼル燃料は原料となる油脂が多様であること、製造過程の違いから、製品ごとに性状が異なっています。
そのため、軽油とバイオディーゼル燃料の混合比率に上限を定めるのみではなく、この上限値内で混合されるバイオディーゼル燃料に由来する成分に許容値等を設けることで、多様な品質を有するバイオディーゼル燃料が混合された軽油品質の適正化を図っています。

揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)施行規則において、自動車用燃料として軽油と混合して販売する際は、右表にある基準値をすべて満たさなければならないとされています。
この規格では、バイオディーゼル燃料の主成分である脂肪酸メチルエステルの混合割合を5.0質量%以下としていることから、一般的に「B5規格」と呼ばれています。

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