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- 更新日:
- 2007年7月12日


第6回 信楽焼関係団体のみなさん
平成19年6月16日 甲賀市
《対話団体について》
信楽焼関係団体として、「信楽陶芸作家協会」、「信楽陶器工業協同組合青年部」および「信楽陶器卸商業協同組合青年部」のみなさんと、滋賀県立陶芸の森に滞在して創作活動を行っているスタジオ・アーティストとゲスト・アーティストのみなさんに参加していただきました。
本県の伝統文化であり重要な産業である信楽焼の将来を担う青年層のみなさんにお集まりいただき、「伝統産業を活かした地域づくり −アートと産業の融合− 」をテーマに対話を行いました。
《対話の概要》
【それぞれの団体の活動について】
参加者:
- 焼き物の作り手の組合である信楽陶器工業協同組合の青年部として活動しているほか、SHIN−RAというグループを若手中心に作って、信楽焼の今後の方向性を確認するための展示会を行ったりしている。また、窯元散策路を歩いて地元のええとこを再発見してもらおうという会の活動もしている。
- 「信楽」の名は通っているが、情報発信がうまくないところがある。若い者から見た町をPRするDVDを作成した。
- 信楽陶器卸商業協同組合は、売り手ということで信楽焼の陶器全般を全国各地に卸し、総合商社として紹介している。青年部の活動として、各地の陶器産地に研修に行ったりしている。
- 信楽陶芸作家協会の活動として、「まちなかアートin信楽」を今年4月に行った。90人近い作家が参加した。協会では、今現在の信楽をどのように文化的に表現していこうかと考えており、広報等で県に協力していただけたらと思っている。
【海外活動を通しての信楽について】
参加者:
世界的に見て、日本は陶芸が非常に盛んな国で 、地域ごとに歴史も文化もある。その中でも、信楽は六古窯の一つであるし、一つの聖地、聖なる場所という感じである。特に海外の器の作家はすごく憧れており、「一度は来たい。そして焼きたい。」という夢を持っている。それを利用すれば、もっと人が歩いている町になるのではと思う。
- 土に信楽のよさがあるわけで、土はここに来なければ手に入らない。ここの土を使って何かを作りたいという熱い気持ちはすごくあると思う。
- 「陶芸の森」には、そうそうたる世界の陶芸家が一度は来ている感じなので、何年かに一回でいいから関わった人の回顧展とか、イベントとかをやると活気づくと思う。
知事:
- 私は、琵琶湖というか滋賀県全体が聖なる場所だと最近しみじみ思う。なんて山がきれいなんだ、微細な川がたくさんあるんだと感激する。
- 風景としての聖なる場所で、土が力を持って焼き物として、鎌倉時代以降1,000年近く作品を生み出してきたというのは、すばらしく深いものがある。
- 過去に「陶芸の森」に滞在したアーティストは、42カ国642人にのぼる。この人たちを結集すれば、世界中にいるわけだからパワーになると思う。アーティストのみなさんの蓄積を活用させていただき、お互いにつないでいくことを「陶芸の森」で考えてもらいたい。
【作り手としての思い】
参加者:
- 僕たちは、自分の個性を出す作品ではなく、お客様に長く使っていただけるような愛着のわくようなものを作っている。世界のいろんな空気を吸って自分の感じたことを作品に落とし込んでいけるというのは、すごくうらやましい。
- 僕らが作っているものは、作品ではなくて商品である。だから、売れるもので作りやすさを求めている。芸術性よりも、商品としての使いやすさやメンテナンスの問題、機能性が重視される。
- 自分のしたいことや作りたいものと、お客さんの求めておられるもののバランスをどうとるかという葛藤はある。
- 作品か商品かということでは、私が以前にフラワーポットを作ったときは、それは数がいるので、自分は原型だけ作った。その原型はオリジナルである。商品として大量に流すものはデザインだけやることになる。
- 信楽は、タヌキが看板みたいになっているが、キャラクターを出し過ぎると、そのものの価値がキャラクター頼みになってしまうところもある。
知事:
- 最初のタヌキを作った人はオリジナルなんです。そこにイノベーションが生まれてくるはずなので、タヌキやカエルの次にどういう展開をしていくかを考えるとき、作品を作られる方たちとの接触の中から何か生まれてこないかと思う。
- 作品もあれば商品もあるので、ぜひともそれぞれの思いで対話してほしい。本音で話すところに力がわいてくるはずである。
【販売面から見た信楽焼の現状について】
参加者:
- 現在の冷え切った経済状態の中では、こんなのを作れといって責任を持てないところがお客さん(販売先)にあるので、新商品が出にくい状態である。
- 在庫をこちらも持つ、お客さんも持つという状態が流通の常識だったが、最近はお客さんがほしいと言ったときにすぐに対応しているという状態である。
- 今まで売っていた得意先が、後継者不足とかで廃業されることがある。信楽焼は、普通の陶器より価格的に少し高いので、量販店で取り扱ってもらうには価格的に厳しい。
- 茶碗をとっても、今は個性的というか個々にデザインも違うし、数をはかないといけないものが、少数で対応せざるを得ない状況になっている。
【信楽焼の将来について】
参加者:
みなさんそれぞれ好きなものがあると思うので、陶器以外のところから自分というものを見つめ直していく。そういう個人の集まりが信楽の集まりになる。自分はどういうものが好きなんだということがもとだと思う。
- 世界的な目からみて、信楽の陶芸の伝統とか美意識というのは、すごくレベルの高いものであるし、誇りを持っていいものであると思う。
- モノの上に乗っかったストーリーとかファンタジーに付加価値を感じて、それにお金を出したい人がたくさんいると思う。
- 東京で展示会を行ったときに、はやりすたりのない長いスパンで使っていただける信楽焼というデザインや、信楽の持つ土の力というのが東京で通用するなというのは感じた。素材の良さを全面に出した商品開発にチェンジしていったらいいかなと思っている。
- 信楽高校でワークショップをやったが、参加する生徒が増えた。僕も高校時代の一番の思い出は作家のところに遊びに行ったことで、違う大人の世界とかものすごく影響がある。若いときにいろいろな人たちと出会える場があることは大事である。
- 信楽の「まちなかアート」は、そこに住んでいる作家が起こして、そこに子どもたち、親たちが一緒にやっていく。商店街の人も協力してくれるようになった。そういう地道な活動の中でいかに文化を大切にするか。信楽にはきちんとした歴史があるんだから、それを活かさないと本当にもったいない。
- 商店街に空き店舗がたくさんあるが、それを作家協会のメンバーなどに開放していただけるとありがたい。今は、陶芸の森に来て、またどこかに行ってという点々の移動しかない。そういうスペースを利用できれば活性化すると思うので、行政の方で力をいただければと思う。
- 日本は、美術、工芸の分野は、まだまだ遅れていると感じる。国として、もっとそういうところに興味を持ってほしい。
知事:
- 日本人の持っている感性、芸術性、美意識、これは世界に通用する。文化力は経済力につながっている。
- 文化力を経済力に結びつけたいと思っているが、その主体は政治だけじゃない。行政も主体になる、芸術家のみなさんも主体になるということが大事かなと改めて思う。
参加者:
- ものづくりの基本として、日本の歴史の勉強をしてほしい。特に信楽の陶器の歴史を知り、その伝統を基本に、その上に自分の個性を広げていく、そういう考え方でものを作っていってほしいし、ものを作ることを好きになってほしい。
- 伝統ある信楽をこれからも継承していかなければならない中で一番大事なのは、まず後継者問題である。県内だけでなく県外からも信楽に携わっていただける方を受け入れる態勢をつくっていただくのが大事だと思う。
- 観光面で、信楽に来たお客さんが、来て良かったと思って帰ってもらえるようなまちづくりが大事であるので、行政でできる限りの尽力をいただきたい。いろいろと提案をさせていただけるのなら、まだまだ活気づくのではないかと思う。
- 信楽をもっとPRすれば、まだまだお客さんは来てくれると思うが、お客さんに迷惑をかけないような駐車場や即売会場などの改善が必要であり、自分らの力ではなかなかできない。
【対話を振り返って】
知事:
- 今日は改めて3つのことを教えていただいた。
一つは、芸術作品を作られる方、商品としての製品を作られる方それぞれが根の深い伝統をもっておられる、これが信楽の強みかなということ。いろんな人が関わっている、大変厚みのある地域である。その背景には、信楽の大地の力がある。資本は逃げていくが、土は逃げていかない。地域性、風土は逃げていかない大地に根ざしたものだということを強く感じた。
- 2つ目は、その中でみなさんが、地域が丸ごとで次の世代につなごうとされていること。私たちの時代は、都会を見て、外を見るという社会であったが、今の子どもは目の前にあるものを先入観なしにきちんと見ている。世代をつなぐということで、いい芽が出てきている。次にしっかりとつないでいってほしい。
- 3つ目は、国際性ということで、信楽は大変な潜在力があるがそれが活かされていない。中国は新しいマーケットになる。ぜひとも展開してほしい。経済特区の一つの柱が国際展開ということであり、がんばってやっていただきたい。
- さらに、行政に宿題をいただいた。まちづくりを面的にどう展開するのかという問題であるが、県としては、交通体系が関係する。渋滞なく毎週土曜、日曜日に恒常的に人が来てくださることが大事である。近江八幡も重要文化的景観の選定を受け元気になっている。信楽も潜在的な力があるので、まちづくりの中での交通網の整備は県行政の宿題だと思っている。
- 今日のこの会議が、異なったグループの人たちの未来への出会いになっていただけたらと思う。

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